1999.02.13 UP


さて皆さん、master山本お勧めのロースハムを造りましょう。
数々の作業を写真を使い分かり易く説明してあります、
楽しみながら美味しい自作のロースハムを御堪能ください。



「肉」

この写真は肉屋さんから業務用の豚ロース肉1本を
そのまま買ってきた物で重さは約4.5kgありました。

 
今回は近所の肉屋さんで買いました、買ってきたままでは多くの脂肪が付いていますので表面に5mm程の脂を残し、それ以外は切り落とします。
香辛料はガーリックと胡椒をベースにシンプルであまり癖の強くないものを少量使われると良いでしょう。

 
次は塩漬けの準備です、これはとても大事な行程でここを間違えるとハムの出上がりの50%から80%も左右される工程です、十分に注意して行ってください。
肉の重さに対して塩は2%・砂糖は1%です。
今回の肉は4476gですから、  
4476÷50=89.52g(塩)  4476÷100=44.76g(砂糖)  と成ります。

 

 
香辛料は入れ過ぎると肉本来の味を殺してしまうので、使いすぎに注意しましょう。
私の場合はホール状の香辛料をコーヒーミルで塩・砂糖と一緒に砕いて使っています。

ここで香辛料を混ぜ合わせたものを肉に万遍なく擦り込んでやります。
擦り込むと時は塩のザラザラが無くなり指がツルツルするまで丹念に行ってください。


これは蒸留酒をかけて肉表面の雑菌を減らし、また香りを付けています。
たくさんかける必要は無く表面が湿る程度でかまいません。
ここまで出来上がりましたら肉にサランラップ等を密着するように巻き付けて肉が空気に触れて腐敗させない様に一週間から10日間冷蔵庫に入れて肉の芯まで調味料が行き渡るのを待ちます。

 
塩漬けの行程を終えた肉は流水で表面のぬめりと、残った塩・香辛料を洗い落としてやります。
塩抜きは水に浸ける方法もありますが肉が水分を吸ってしまうので、私は擦り込む塩を抑える事により塩抜きをせず水で洗い流す程度で余分な塩を落とすだけにしています。

洗い終えた肉はタオルを使って丹念に水気を拭き取ります。
肉をハムの形に丸めて、その上から凧糸をグルグルと巻き付けてやります。
肉にサラシを巻いて上から凧糸を巻く方法もあるのですが、私は煙の成分が深く肉に入って欲しいので直接肉に凧糸を巻いて整形をしてしまいます。

これが凧糸を巻き上げた状態の肉です、この段階で一晩風乾して次の日の燻蒸に備えましょう。

さて、いよいよスモーカーの登場です、市販のスモーカーも数多く売られているのですが、美味しくスモークをするにはなるべく容量の大きいスモカーを選んでもらうことです。
その理由は体積が小さいと内部の温度管理が敏感で難しく煙の廻りも悪く出来上がりにむらが出やすいからなのです。
立派なスモーカーが無くとも、簡単に大きな段ボール箱をスモーカーとして使うのが安価でとても便利でしょう。

写真にはありませんが、スモークするときのチップはスモークウッドと言う太い線香のような物で煙の量も安定していて失敗も無くとても楽にスモークする事ができす。
スモークするときの温度は50〜60度でスモークウッドが燃え尽きるのにスモーカーの密閉度によって違いはありますが、4〜5時間ほど燃え続けますのでのんびりと行ってください。

燻蒸が終わると次は肉の低温殺菌を行わなければ成りません。  
これがハムづくりで最後の行程です、もう少し経てば美味しいハムが食べられるのでもう少しの辛抱です。
オーブンの鉄板に水を張り80度程に設定し肉の表面をアルミホイルで隙間無く巻いて網に乗せ中に入れてやります。
そして肉(ハム)の一番太いぶぶんが63.5度に達し30分が経過するまで殺菌を続け出来上がりです。

いかがですかこの出来上がり、生唾ものでしょう、この美味しさを覚えたら「今まで口にしていたハムはいったい何だったのか?」と思われることでしょう。


制作 山本 肇  
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